早稲田SIM Blog

Blue Ravineの８SIM全面クローズ、SLからの完全撤退というニュースが流れてきたときには、目を疑いました。土地もレンタルしてなかったし、それほど頻繁に訪ねる場所ではなかったけれど、何といっても、早稲田SIMにVital Domeを出してくれているRadiのClub Vital Staffの本店があるところだし、近未来風といデザインコンセプトは、個人的な好みからはちょっと違うし、多分方向性も違うけれど、それは別にしてあのSIMデザインの完成度の高さは誰もが認めるところだったでしょう。


SIMオーナーさんとも、SL/RL両方で会って強いビジョンを聞かされていたし、敬意も持っていました。（まあ少し意見の違いもありましたが）正直、こんなに早くそれも突然に全土が閉鎖されてしまうことになるなんて予想もしませんでした。企業としての方針の決定の重さや厳しさは、自分でもよくわかっているつもりですが、本当に残念です。日本のセカンドライフの世界にとっても、大きな痛手と言わざるを得ません。


夜、いままでめったに非SLのルートから連絡したことのないRadiにSkypeで連絡をして、明け方まで色々話しました。Radiはやっぱり、世界のステージで生きているめちゃくちゃ強い人だから、ショックを受けつつも、もう切り替えをしようとしていて、現在のSLの状況だとか、これからのことだとか、久しぶりに長い時間、随分色々な話をして、僕も少し切り替えができたかな。


ちょっと角度が変わりますが、この世の中には無くならないものなんてないわけです。SLのSIMが無くなってしまうレベルの話ではなく、色々なものはいつか終わりますし、消えていきます。人は有限の時間の中で生きていて、いくらアバターがワールドで無限の力を持っているように見えても、その向こうには人がいます。

人の力は、強い時もあるけれど、ひどく弱い時もあり、そんな人間の限界というか、揺らぎというか、そういうところといつも僕たちは向き合っているはずなのに、なぜかSLの中では永遠とか無限とか、信じてしまう傾向があるように思います。

それが人をとても元気にしてくれる面もあるんだけれど、SLを１年半やってきて、この凄まじい変化を遂げていく世界をずっと見てきて、僕がいま辿りついている考えは、本当のファンタジーなんてどこにもないということです。この場合のファンタジーとは、楽をして暮らせる桃源郷のような世界という意味です。


世界は消えていくし、色々なものは失われていくし、夢のあるデザインや楽しい経験、絵のような風景、優しい人々・・この世界の素晴らしいこと。たくさん見てきたけれど、悲しいことに、放っておいてもそのまま存続できるものなんて、この世界には何ひとつありません。身を切られるようにつらい別離だとか、終わりだとか、そして死だとか。僕らはSLの中ではせめてそれらと無縁でいたいけれど、どうやらそういう場所ではないのだ、SLが例外だなんて考えてはいけないということが、SLの中で１年半暮らしてきた僕の、辛くもたどりついた考えです。


もちろん、この世界にはそれ自体とんでもない力があると思うし、すさまじい可能性があると思います。ですが、それはほっておけばどうにかなる、何も力を注がなくても無限に広がっていく世界ではないし、流れのままにいて、いつか自分を幸福にしてくれるシステムでもありません。

こうしたことから考えればビジネス的な成功の有無などは、その次の次元のことのであるように思えます。

つまるところ、私たちが、どこで何をしていくのか、踏ん張っていくのか。その、時にきつく苦しい場所から自由であることのできる世界はどこにもないということです。


こんな風に書くと余計に悲観的に聞こえるかもしれないけれど、厳しすぎるように思えるかもしれないけれど、こんな話をしながら少なくとも僕たちは、（つまりこの場合Radiと僕ですが）決して頭を抱えて座り込んだりはしないということです。いや、座りこむこともあるでしょうが、それは今ではありません。


当たり前の話ですが、一緒に前に歩いていくことにしましょう。願わくば、Blue Ravineで暮らしていたすべての人たちもね。